「火ではなく、水で還す」という選択——フューネラルビジネスフェア2026で出会った、新しいお見送りのかたち
皆さま、こんにちは。 ペットのおみおくり天寿 代表の神農 栄人(かんの えいと)です。🕊️
先日、フューネラルビジネスフェア2026 に行ってきました。
私はペットちゃんのお見送りを生業(なりわい)にしていますが、毎年この展示会に足を運んでいます。 理由はひとつ。
人間の葬儀の世界をしっかり学び、その中からペットちゃんのお見送りに活かせるものを持ち帰るため です。
ご家族にとって、人の葬儀もペットの葬儀も、「大切な存在を送る」という意味では何ひとつ変わりません。 だからこそ、人の世界で長年培われてきた知恵や技術には、いつも多くのヒントが詰まっています。
今日は、その展示会で一番心に残った”あるもの”について書きたいと思います。
🌸 フューネラルビジネスフェアとは?
フューネラルビジネスフェアは、綜合ユニコム株式会社が主催する、葬祭・終活業界向けの専門展示会です。
全国の葬儀社、石材店、仏壇仏具メーカー、そして供養に関わるあらゆる企業が一堂に会し、最新の商品・サービスや、これからの供養のかたちを発信する場になっています。
その中の一角には、実は ペットちゃんの葬儀・供養に関する展示 もあるんです。 ペット供養が、いかに社会の中で大きなテーマになってきているか——それを毎年、肌で感じます。
🌸 今年、一番の注目は「水のお見送り」だった
数ある展示の中で、今年ひときわ注目を集めていたもの。 それが、株式会社MIROKU(ミロク)さんが発表された——
アクアメーション装置「MOTHER(マザー)」 です。
表紙のキャッチコピーは、こうでした。
火を使わない、水のペット葬。

ご覧いただけますか? 透き通った水の中を、ワンちゃんと猫ちゃんが気持ちよさそうに泳いでいる—— このコンセプト画像が、とても優しくて、可愛らしいんです。
「お別れ」というと、どうしても重く、暗いイメージがつきまといます。 でもこの一枚には、穏やかに、自然へと還っていく ような温かさがありました。
ちなみに、装置の名前「MOTHER(母)」には、
生まれてきた母の胎内にもどり、穏やかな最期を迎えてほしい
——そんな願いが込められているそうです。 名前を聞いただけで、つくり手の想いが伝わってきますよね。
🌸 そもそも「アクアメーション」って何?
聞き慣れない言葉だと思います。
アクアメーション(aquamation)は、日本語では 「水火葬(すいかそう)」 とも呼ばれ、正式には「アルカリ加水分解」という技術です。
ざっくり言うと—— 炎ではなく、「水」と「アルカリ」の力で、体を穏やかに自然へと還す方法 です。
専用のステンレス容器に、その子の大きさに合わせた水とアルカリの溶液を入れ、適切な温度で時間をかけて分解していきます。 最後に残るのは、火葬と同じく きれいなお骨 です。
特徴をまとめると、こんな感じです。
- 煙やにおいが出ない ので、市街地のビルや商業施設の中でも施行できる
- 火葬に比べて、お骨がきれいに、そして多く残る(約2割ほど多いとも言われます)
- 火葬に比べて 二酸化炭素の排出を約90%削減 できる、環境にやさしい方法
- 細菌などを死滅させるため、衛生面でも安心
「火が苦手」「もっと環境にやさしい方法で送ってあげたい」—— そんなご家族の想いに応える、新しい選択肢として注目されています。
🌸 実は、130年以上前からある技術なんです
「最近できた新しい技術でしょ?」 そう思われるかもしれませんが、実はそうではありません。
アクアメーションの原型が生まれたのは、なんと 1888年(明治21年)。 イギリス出身のある農業者が、家畜を肥料に変える方法として考え出したのが始まりだと言われています。 今から 130年以上も前 のことです。
その後、
- 1993年:アメリカの医科大学で、初めての実用装置が導入される
- 2011年:アメリカ(オハイオ州・フロリダ州)の葬儀社で、人のお見送りに初めて使われる
- 2015年:国連でSDGsが採択され、「環境にやさしい葬送」として世界的に注目が加速
——という流れで、少しずつ世界に広がってきました。
世界的に知られるきっかけになったのが、南アフリカのデズモンド・ツツ大主教 です。 ノーベル平和賞も受賞された方ですが、2021年に亡くなられた際、ご本人の強い希望で、火葬でも土葬でもなく アクアメーション を選ばれました。 地球環境への配慮という、その生き方を最後まで貫いた選択でした。
現在では、アメリカ(人の葬送としても半数以上の州で合法)・カナダ・イギリス・南アフリカ・メキシコ・シンガポール・オーストラリア など、世界中に広がっています。 ペット向けに限れば、アメリカではほぼ全州で利用できるほど、すでに一般的になっているんです。
🌸 では、日本では?
ご存知の通り、日本は 火葬率99.9%以上 という、世界でも珍しい”火葬の国”です。 私たちにとって「送る=火葬」は、ごく当たり前の感覚ですよね。
その日本でも、ついに動きが出てきました。 今回展示されていた装置「MOTHER」は、日本で初めてのペット向けアクアメーション装置 として、2026年3月から販売が始まっています。
人間のお見送りとしては、日本ではまだ認められていません。 でも、ペットちゃんの世界から、新しい扉が開き始めている ——そう感じています。
🌸 ペット葬に携わる者として、私が思うこと
正直にお話しします。
私は、火葬でのお見送りを大切にしてきた人間です。 ですから、「これからは水の時代だ」などと言うつもりは、まったくありません。
火葬には、火葬の良さと、長い歴史の中で培われてきた尊さがあります。 それは、決して否定されるものではありません。
ただ、ひとつだけ確かに思うことがあります。 それは——
「送り方を、ご家族が”選べる”時代がやってくる」
ということです。
火か、水か。 どちらが正しい・間違いではなく、 その子とご家族にとって、一番納得できるお別れを選べる。
そんな未来は、もうすぐそこまで来ているのかもしれません。
🌸 最後に——皆さまに、ひとつ問いかけを
もし、将来こんな選択ができるとしたら。
あなたは、大切なあの子を—— 火で送りますか? それとも、水で送りますか?
正解はありません。 どちらを選んでも、そこにあるのは「ありがとう」と「大好き」という、同じ想いです。
ただ、こうして 選択肢が増えていくこと自体が、ご家族の心を少し軽くしてくれる のではないか。 展示会の帰り道、私はそんなことを考えていました。
これからも私は、人の葬儀の世界からも学びながら、 ペットちゃんとご家族にとって一番優しいお見送りを、追いかけ続けていきたいと思います。🕊️
今日も、皆さまとペットちゃんの毎日が、穏やかな時間でありますように。
🐾 ペットのおみおくり天寿
代表:神農 栄人(かんの えいと)
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